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グレイスランド
死と再生の聖地、合言葉は「キングを忘れるな

この映画はその体裁において嘘に満ちた映画だ。第一、あのハーベイ・カイテル扮する<エルヴィス>は似ても似つかない。しかしこの映画にはエルヴィスのすべてがある。真実がある。傷ついた大人のロードムービーの体裁をとりながら、エルヴィス現象を分析した「記録映画」のような作品だ。

この主人公は「星の王子さま」のように人から人へと出会いを重ねながら、出会った人たちの傷ついた心を癒し再生していく。
砂漠で茫然としている男・バイロンの前に、突然現れた男は「エルヴィスだ」と名乗る。そこから二人の旅は始まる。「エルヴィスだ」と言う男をバイロンがイカレた男と思うのは当然だ。ふたりは葛藤を続けながらグレイスランドへ向かう。

<エルヴィスという名の男>は美しいがひっそりとしたグレイスランドに戻る。そこには誰もいない。「こんなはずではない」と泣き崩れる。慰める旅の道連れ・バイロン。この場面は兵役を勤めている間に母グラディスを亡くした時を連想する。
またバイロンは、双生児だったエルヴィスの兄を死産したことで自分を責め抜いた母グラディスとダブる。

バイロンは、愛する妻を事故で死なせたことで引き裂かれた過去の心情を背負い無気力に生きていた。<エルヴィスという名の男>はバイロンに「自分を責めるな、新しい愛はつらい思いをしないですむと信じろ」と背中を押す。
それはそのまま<エルヴィスという名の男>自身への言葉だ。
彼もファンのキャンドルサービスを目にして「俺はこんなに愛されていたんだ」と癒され自分への信頼を取り戻していく。
<グレイスランド>を死と再生の終点にして、自分を信じられなくなった者が、人を信じることで、自分への信頼を取り戻していく。その横には静かにキングが寄り添っている。
実はエルヴィスだったかもしれない<エルヴィスという名の男>はおまじないのように「キングを忘れるな」の言葉を残し再びひとり旅立っていく。

その旅はまさしくエルヴィス・アーロン・プレスリーの旅であり、旅の道連れは彼を支持する人たちであるといえないだろうか?
エルヴィスが好きだという人は多い。しかし好きな曲となればよくこんなに違うものだというくらい違う。人間は<大分類〜中分類〜小分類〜個>というように段階的に枝分かれして、自分という個人のたどりつく。個がいわゆる「自我」だ。
蟻なんかは自我なんて面倒なものがないから無理なく団体行動がとれる。人間はそうもいかない。
自我とは「自分」と考えてもいい。「自分」というのは「自分の体」「自分の心」というように制約があって「自分」を認識出来る。もし「自分の体」「自分の心」という制約がなければ、他者との境界がなくなり、自分も他者もあったものではない状態になる。
そのためには人間は自分と他者との関係があって初めて「自分」が認識できるようになっている。もし他者との関係がなければ浮遊しているような感じになるだろう。「自分」を実感するには、自分あるいは自分以外の何かに属していることが必要だ。

それは他の人の属性とは違うものでなければならない。大分類から始まる分類が必要なのだ。その違った属性の中で「他者」との違いを明確にした上で、さらに「自分」というものをよりはっきりするために枝分かれしていくことで自分を認識しようとする。
いくつもの「違う」がなければ安定できない。<大分類〜中分類〜小分類〜個>。たまに<個>のみという強者もいるが滅多にお目にかかることはない。

国家、家庭、企業、学校、世代、宗教などの団体もその役目を担う。また父、母、子供、部長、課長、先生という役割もその役目をする。そしてほとんどの人はこれら「属性」について深く考えることをしないことで、自我の安定を図っている。例えば「自分はなぜ彼女の子供なのだ」というように考え出したら止まることなく考え続けなければならず、ケンタッキーの月まで飛ばされていっても解決しないだろう。これでは神経がもたないので、やめる程度は人によって違うものの、自然に考えることをやめて「VIVA LAS VEGAS !」と叫んでいる。
「うちの会社はこんなものだ」「あの人はこんな人だ」というようにイメージを固定することで自分の安定を図る。自分以外のものを何かに属させることで、属しているもののイメージを固定し自分が何に属しているかを明確にして安定しょうしている。

<エルヴィスという名の男>が出会う男や女たちは、<エルヴィスという名の男>自身を含めてみんなその属性「よりどころ」を失ったものたちだ。「自殺しょうと思っていた」と口々に語る。属していたものを失った時に、ひとりになった時に死は忍び寄る。「自我の崩壊」だ。「崩壊の淵」からの再生は「自我の再構築」に他ならない。「そう、おまえは生きるに値する」
ロックンロールの大きな任務は自分の中のストレートなこどもを解放することだ。決して殺すことではない。
「キングを忘れるな」は最後の友である<自分>を信じろというメッセージなのだろう。

これはもうひとつの<ELVIS -THAT'S THE WAY IT IS>だ。さあ、今夜も聴いてくれ、あなただけのエルヴィスを。OKサインを出すのはあなたの番だ。