着飾った自分を見つめる他者の目 しかし、どれをどう判断したらいいのか分からない どこまで行っても、何回やっても 行けばいくほど、繰り返せば繰り返す程 分からなくなる 白か黒か あるかないか 信じていいか、傷つけられるのか 自分の「判断」を信じられない限り 壊れた時計のように、不安定な動きを繰り返す 自分の判断が信じられないから 白か黒か あるかないか 信じていいか、傷つけられるのか 間違いのない答えがほしくなる もう傷つきたくないから。 自分の判断は白でもなく黒でもなく、灰色でしかない 自分の判断はあるか、ないのかよく分からない 自分の判断は信じていいと思うし、信じられない面もある 自分の判断は間違っていないのだ 自分の判断は間違っていない 誰かが＜あたし＞に＜おまえは間違っている＞と繰り返した あるいは＜あたし＞に＜おまえの見たのは真実ではない＞と教えた その時＜あたし＞は無力だった。 そして、いまの＜あたし＞は無力ではない。 強くはないかも知れないが思っている程弱くはなく、 思っているよりも強い。 自分の判断は間違っていないのだ 自分の判断が出来ないかぎりアイデンティティは定まらない 定まらないアイデンティティを定めるためにいろんな道具が必要になる いくら道具を集めても、道具が作る＜あたし＞は＜あたし＞ではない。 たったひとつ、必要なのは、自分の考えや判断を信じることができるかどうか 間違うこともあるだろうが、修正すればいい。傷つくこともあるだろう。 それを避けるのはゆっくりと表現すればいいのだ。 灰色を受け入れ、一歩ずつ積み重ねて白か黒かを確かめればいいのだ。 「分かち合い、チェックし、分かち合う」ということ。 自分の判断が灰色からゆっくりと色を変え 白か黒かになっていくのが見えるようになるだろう。 アイデンティティが稀薄なのは、自分の考えや判断を自分が受け入れないから。 「自分らしさ」「あるがまま」にとは、自分の考えや判断を受け入れること。 アイデンティティが稀薄であれば、自尊心が低くなりがちだ。 自尊心が脆いと自分を粗末に扱いがち。 自分を粗末に扱えば、自分を大事にしてくれる他者を信じることが困難になる。 自分を粗末に扱う他者を信じることは出来ても、 自分を大事にする他者は信じられなくなる。 いくら声を大にして君を信じて良いのですか、 愛してくれるのですかと投げかけても 自分を信じられない限り安心できない。 白か黒でないと不安だという＜あたし＞は無理せずに ゆっくりと灰色になれればいい 灰色の世界が自分を傷つけないように気をつけて 一気に進まなくていいのだ すべて話すのではなく、あるいは何も語らないのではなく、 ゆっくりと話せばいい。 灰色を生きるとはそういうことだ。 確かでない自分の判断を、少しずつ確かめながら ゆっくりと進めばいい。 この先の現在も何もないのは、自分が自分を信じないから 信じることができれば、この先も現在も確かな＜あたし＞がいる。 自分が自分を信じられないのは すでに信じている＜あたしを信じているあたし＞ あるいは＜あたしを信じたいあたし＞がいるから。 自信をもって、ゆっくりと＜あたし＞を受け入れてやろう 誰かが＜おまえはおまえの判断は間違っている＞と繰り返し傷つけた。 間違った他者のアイデンティティを受け入れてしまったのが混乱のもとだ。 あたしは誰ですか？ 心配しなくていい、＜あたし＞は＜あたし＞なのだ ＜あたし＞は＜誰よりも愛おしい、大切なあたし＞なのだ。 ＜あたし＞より大事な人はいない。 ＜あたし＞より大事な人はいないのは「利己主義」ではない アイデンティティが稀薄だと「利己主義」ではないかと気にしてしまう。 真の利己的な人なら、そんなことは心配しない。 気にしてしまうことが「利己主義」でないことをすでに実証している。 あたしは誰ですか？ あたしは＜かけがえのないあたし＞なのです。 ＜依存症……その監禁された愛＞ 林檎の樽に隠された謎 林檎　妖かしのデンデケ 椎名林檎血風録 椎名林檎その淫らさの神髄 椎名林檎直撃創作伝