『トゥルー・ロマンス』『グレイスランド』・・・
男たちのベスト・フレンド。
『トゥルー・ロマンスTRUE
ROMANCE』(1993年作品)は、観る人にとって、意見が分かれます。
タイトルからは想像できないような、とても暴力的な映画です。なんたってタラインティーノの脚本です。監督は『トップガン』『スパイ・ゲーム』のトニー・スコット。
クリスチャン・スレイター, パトリシア・アークエットを主人公にデニス・ホッパー、バル・キルマー、ゲイリー・オールドマン、ブラッド・ピット、クリストファー・ウォーケン、サミュエル・L・ジャクソンら豪華キャストで脇を固めたタイトル通りにとてもロマンティックなラブリーな映画。若い女性の支持も高い。
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ROMANCE はここから買えます。
『トゥルー・ロマンス/TRUE ROMANCE』で、脚本を書いたタランティーノは、愛だけを信じて初期衝動のまま疾走する主人公に対して、「おれはおまえがすきだ」とエルヴィス(バル・キーマー)に言わせています。タランティーノはこの場面のためにこの脚本書いたんではないかと思うくらい重要なシーンです。
僕はエルヴィス自身が求めていた言葉でもあると解釈しています。
この主人公はタランティーノであり、エルヴィスでもあり、何も持たないけれど、衝動を宝物にして頑張らずにいられない世界中の奴らです。
そうでない人は、残念ながら、『トゥルー・ロマンス/TRUE
ROMNCE』のフレームからははずれてしまっています。
だけど、自分のしたいことがなんであれ、トゥルー・ロマンスのふたりのように生きたい人はいっぱいいると思うんですよね。
でもどうしてもそれができない。地団駄踏みながらも動けない人。そのために自分で責めたりしてね。お前は駄目な奴だ。意気地なしだって責め続ける。他人の前ではゲンキでいても、自分に向かい合うと途端にゲンキがなくなってしまいます。ボクなんかその繰り返しでした、

(クリックで大きな画像)
それに回答してくれる、もう一本欠かせない映画が、『GRACE
LAND/グレイスランド』です。
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監督はデヴィッド・ウィンクラー。『海辺の家』『アット・ファースト・サイト/あなたが見えなくても』『ザ・インターネット』の監督、『ロッキー』シリーズのプロデユーサーであるアーウィン・ウィンクラーの息子にあたる。出演はハーヴェイ・カイテル、ジョナサン・シェック、ブリジット・フォンダ、グレッチェン・モル。
自分を責め続ける男たちへ、 エルヴィスと名乗る男がメッセージを送ります。
この関係こそ エルヴィスと エルヴィスを聴く者との関係であり、なぜ エルヴィスがあ愛され続けるのかという説明であります。
そしてなにより エルヴィスもまた自分を責め続ける男であり、責めから解放される雄一の方法が他人の役に立つということだという関係。この危うい関係を『GRACE
LAND/グレイスランド』は見たような、見たこともないような展開で描いています。

GRACE LANDとは若くして成功したエルヴィスが苦労して育ててくれた母親のために買った邸宅であり、エルヴィスの自宅でした、また永遠の眠りについた息を場所でもあります。
ハーヴェイ・カイテル扮するエルヴィスと名乗る男が、旅をしながら次々と悩める人と出会い、「キングを忘れるな」と言ってまた旅立って行くロードムービー。
ハーベイ・カイテルがエルヴィスのキャラクターを忠実に表現しているかというとそうではないですが、この映画まるごと1本通して、「どこにでもいる人」を描きながら、エルヴィスとは何かを表現しています。
偉大すぎる成功は失敗と同じかも知れません。70年代、エルヴィスはステージの回数をこなしながら、絶望していたのではないかと思います。
人間の世界にはどんな希望も粉砕する絶望がある。逆に希望のない絶望もない。
それを承知しているからこそ、希望を捨てるなと言ってるような気がする映画です。
「キングを忘れるな」の意味は エルヴィスの薬物疑惑 でも書いていますが、Remember
the Alamo , Remember Pearl Harbor にリンクするRemember the King・・・のことです。つまり悲しみを忘れず悲しみの淵から立ち上がリ、戦えということ。
Remember the Kingの意味は幸福になれという意味でもあるでしょう。
『トゥルー・ロマンス/TRUE ROMANCE』『GRACE LAND/グレイスランド』は共にフィクションですが、エルヴィスの真実を語った映画です。しかしエルヴィスを知らない、関心がなくても、傑作として楽しめます。
そして見かけほどロマンティックな映画ではない、とてもハードなメッセージを内包した作品です。それもそのままエルヴィスのようです。
よく女性たちは、普段話している理想の人とはかけ離れた男性と、恋におちたり、一生を共にします。
それは女性がイザという時には、自立した男性を望むからですではないでしょうか。
『トゥルー・ロマンス/TRUE ROMANCE』『GRACE LAND/グレイスランド』の主人公 も自立できない男たちです。遊興に、あるいは過去の事件に逃げ込み、ひきこもった男です。
自分の人生に向かい合うことも、いまを生きることもしょうとはしない。
そんな彼等がふとしたことから、孤独とリスクを栄養にして自立しょうとしていくプロセスが描かれています。女性は自分を唯一の栄養としてくれながら、決意し行動していく彼等を愛します。
しかし女性に愛されるほどに孤独が深まるのも男なのです。
そして、主人公がハラをくくって踏み出そうとするその時、エルヴィス・プレスリーは現れます。
「おまえが好きだ」「キングを忘れるな」まったく違うような意味を持つように思えても、意味は同じです。
「よし、いけ!、オレが支えてやるさ」なのです。
アメリカ人の心、奥深くに存在している、ロックンロールをひっさげて登場した彼等のキング、エルヴィス・プレスリーの理想の形なのでしょう。
そしてそれこそがロックンロールそのものなのです。
「君は自由だ!」「君はやれる!」
9.11 〜NY.同時多発テロ事件、空中でテロリストに挑んだ方々の最後の言葉も「ロックンロールしょうぜ」でした。
女性が多いエルヴィス・ファンですが、『トゥルー・ロマンス/TRUE ROMANCE』『GRACE
LAND/グレイスランド』も
男たちの親友としてエルヴィスは登場します。
女性たちが見つけるまで、もともとエルヴィス・プレスリーはそんな存在だったのです。
男がやることすべての
力になってくれる
それがあなたの素晴らしいところ
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