エルヴィス・プレスリーのグッドラック・チャーム

四つ葉のクローバーなんていらないし
古い蹄鉄もいらないけれど
君のキスは欲しいんだ、だって
君は大切な幸運のお守り

*さあ早く、僕のお守りになってくれ
Uh-huh-huh、可愛い人よ
腕にお守り代りの君をさげて歩きたい
今夜一緒に過ごして、抱きしめるために
1ドル銀貨なんていらないし
ウサギの足のお守りもいらないよ
その暖かな抱擁から得る喜びは
ウサギの足なんかじゃ得られない

全米ヒットチャート・ナンバーワンとなった＜グッドラック・チャーム＞は、アーロン・シュローダー、ウォーリー・ゴールド共作によるエルヴィスのオリジナルです。

1961年10月15日～16日にナッシュビルで録音、翌年3月にシングル・リリースされました。
3ヶ月後にはアルバム「ポット・ラック」のリリースが控えていました。

同アルバムに収録された＜ナイト・ライダー＞が＜グッドラック・チャーム＞と、同じタイミングで録音されています。

B面には、＜エニシング・ザッツ・パート・オブ・ユー＞が収録、感情のこもったバラードだけあって、やはりチャート・インしています。

＜グッドラック・チャーム＞は、まさにエルヴィスの60年代を代表するようなミディアム・テンポの明るいポップなナンバー。
美しいメロディラインとエルヴィスの声がピタッとはまった傑作です。

最近、科学的な根拠のない占いは、人を惑わせるので、テレビなどで軽々しく放送するのは芳しくないという意見が起こっているようです。

個人的には、信じるか信じないかは個人の問題なので、個人の場に任せればいいことで、やはり公の場は慎んだほうがいいのではないかと思います。

個人の問題としては、占いを信じるのも、あるいは、空想も思考も、歌を聴いて涙ぐむのも、所詮、自分個人の頭の中で起こっていることなのですから、迷信でも、それで心が安らぐなら、信じればいいと思います。

愛ピ自身は、自分の体験から、科学的では証明できないことがあると信じています。

それにしても、人は、程度の違いこそあれ、なぜ、おまじない、迷信、占いに関心を持つのでしょうか？

自分の行動を認めてもらった人は、自分を受け入れることが容易にできます。

だから他人を受容することも比較的容易にできます。

しかし、行動を認めてもらえなかった人は、自分の考えや、行動に、なかなか自信がもてません。

そこで友人の言葉や、占いにまで支援を求めてしまいがちです。
しかし自分への不信は、他者への不信に拡大していますから、それすら信じられません。

第一、友人が普通の感性だったら、相談しても、考える深さがもともと違うので、「そんな簡単に考えるわけにはいかないのに」と、欲求不満を起こしてしまいます。

そこで、占いの結果も思考のなかに取り入れたりします。
なにもかもが混ざり合って、混乱は深まり、ますます自信は弱まります。

人は自分の体験したことしか理解できないからです。

地球上で、もっとも愛を注いでくれるはずの親から、十分な愛情をもらえなかった子どもは、「お嫁さんにしたいのは、世界でひとり、君だけだよ」と言われても、信じることができません。
親ですら十分な愛をくれなかったのに、あるはずがない。と反応します。
自分の体験から得た結果です。

まさに命懸けで知ったリアルに、甘い言葉は駆逐され、時には怒りの対象にすらされてしまいます。

グッドラック・チャーム・・・幸運のおまじない、それは自分自身のはず。

自分で運命を切り開くしかない現実に対峙したなら、
それが真実だと思いますし、それこそ健全だと思います。

幸運のおまじないなんかいらないと、自分の考えと行動を信じることが、できてこそ、他者の幸運のおまじないになれます。　

しかし、人はそんなに強くできていませんし、傷つくことが多くあります。

自分で、運命を切り開くようになるには、「そうだね、つらいよね」とか、「頑張ったね、大変だったね」と痛みや悩みに対して、共感してくれる人が必要です。
言葉ではありません。共感こそが、解決の扉なのです。

他人に、いじわるされて、傷ついたときに、いじわるされた事実と、傷跡は変えようがありません。

しかし、自分を認めてもらうことで、共感によって癒され救われます。
共感のまなざしには、「君はやれる、君は自由だ」が含まれています。
だからこそ、傷をなめあう、いたわりあいから、愛は生まれません。

そこには「君はやれる、君は自由だ」が含まれていないからです。

傷をなめあっても、より深い傷がつく結果に、至ってしまいます。

痛みは、どこかで、断ち切らない限り、循環します。

傷を克服した者が、傷ついた者をいたわることが出来るのです。

＜グッドラック・チャーム＞は、
背中をさすり、肩を抱きしめてくれるような、声がしませんか？

傷ついた女のコのことを「君は、ボクの幸運のおまじない」と、存在価値を、心から認めてあげることで、いたわり、共感し、癒し、愛し、ゲンキづけるようなやさしさが溢れています。

ハートが高感度ゆえに、他人に理解されないことを、多く体験したエルヴィスは、人の痛みを、強く感じた人だと思います。

「痛みのアーティスト」の痛みは、エルヴィス自身の痛みを、さしているのだと思っていましたが、そうではなく、他者の痛みをさしているのでしょうね。

ボクの勘では、エルヴィス自身は、残念ながら、多くの人たちと同じく傷を克服していたとは思えません。

しかし、その感性の鋭さ、強さゆえに、増え続ける自らの傷を、なめてもらうことを求めず、自分の深さゆえの苦悩を、理解してもらうことも求めず、それゆえの孤独を孤独の内に蹴散らしながら、天から授かった声を使って、魂の歌により、人を救うことで、天命をまっとうしょうと、無意識であっても、一生懸命ギリギリまで戦った気がします。

エルヴィスの戦いは、痛みを越え続けた大いなる歓びのはず。

その理由は、エルヴィスの歌声から聴こえてきます。

共感は、してもらう人より、する人にこそ歓びがあります。

だから共感してもらった人は、歓ぶことができます。
・・・・その歓びの程度はギネスが数字で明確に証明しています。

＜グッドラック・チャーム＞の、柔らかな優しい歌声は、現代日本人が、忘れがちな、他者へ共感する素敵がいっぱい。

ボクは、エルヴィスが大好きです。

うさぎの尻尾が、なくてもエルヴィスのCDがあります。

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